オープンリールテープデッキ AKAI-GX 650Dの修理に挑戦。
同級生のN君所有のものですがテープ巻き戻しができなくなり修理して欲しいと頼まれました。200Km 程離れたところに住んでいますがコロナ禍でなかなこちらに来れず2年越しの来訪です。直せる保証はありませんでしたがおおよそ10年ぶりの友との再会です。
小屋に到着後早速動作状況を確認。重量は26Kgほどあり重い・・床に置いてテープをセットし通電し動作確認。再生や早送り機能は問題ありませんが、巻き戻しは全く動作しません。10号リールはさすがに迫力満点です。
床に置いたGX-650D
事前にネットの海外サイトからサービスマニュアルをダウンロードしておきました。そのマニュアルに従いとりあえず木製の外側ケース及び前面パネルを取り外し中を確認することにしました。
裏面6か所(ゴム脚4か所を含め)、底面4か所のネジの取り外し
前面パネル2か所も取り外します
独立駆動(モータ)なので意外と機構はシンプルです
VUメータの周りを包んでいるウレタン製のパッキンはダイヤトーンのスピーカエッジと同じように劣化してボロボロでした。特に機能には関係ないのですべて取り除いて綺麗にしました。
劣化してボロボロのスポンジ状パッキン
木製ケースからフレームを取り出し中を点検しました。特に異常(熱損傷や破損)箇所は見当たりません。
裏面からの様子、真ん中のファンが付いたモーターはACサーボモータ
定速再生時のキャプスタンモーター
回路図もマニュアルに付いていたので確認するとリール巻き戻しや早送りなどの動作を駆動する機構は送り側と戻り側とそれぞれ独立でACモーターで駆動されています。モータの駆動は操作ボタンからの信号をトランジスが受けリレーを制御しAC電源を供給することで動作開始し、停止ボタンもしくはテープエンド(テンションをマイクロスイッチで検出している)によりオフとなります。モータへ供給するAC電源ラインにはそれぞれヒューズが入っているのでまずはヒューズの確認を進めます。
上からフレームを見た様子、赤丸部分がヒューズ取付部
ヒューズが装着してある箇所は容易に確認できる場所ではなく、上記写真の赤丸部分2個所でしかもヒューズ取付端子は装置内部方向に向いています。さらにモータが邪魔して手が簡単には入りませんし、ヒューズの様子を見ることも困難です。(保守性??)
テスターを使用して導通チェックを行ったところ7本のうち1本の導通がありません(断線)。
道具を使って管ヒューズを取り外し目視すると間違いなく溶断していました。定格200V1.5Aの管ヒューズで生憎手持ちがないので近くの家電量販店まで出かけて入手。
ヒューズ交換後、リールをセットして動作確認。正常に巻き戻しができるようになりました。幸いなことにヒューズ交換のみで動作復帰です。
清掃を行い、すべて元に戻して再生し動作確認。出力レベルコントロールのボリュームは「ガリ」が発生、入力切替ロータリースイッチ部も一部接触不良が確認されました。とりあえず今後使用頻度を上げ、摺動を繰り返すことでの回復期待です。再生スピードも若干気になりましたがこちらは確認ツールがないので今回はそのままで様子見です。ヒューズ溶断の原因は不明ですが、シンプルな回路なのでモータの過負荷あるい過渡応答によるヒューズ劣化などが考えられます。
懐かしい音楽と思い出話でその晩は二人で深夜まで酒が進みました。